今回は、あなたが日頃感じる喜怒哀楽と、体の中にある大切な臓器たちが、実は深く深く結びついているという、ちょっと不思議で面白いお話から始めましょう。

 

「え、感情と内臓が関係あるの?」

 

そう思われたかもしれませんね。

でも、東洋医学では、心と体は切り離せないものとして考えられてきたのです。

まるで、繊細な糸で結ばれた双子のように、お互いに影響を与え合っています。

心と体は鏡?感情が臓器に映し出すもの

 

想像してみてください。あなたが試練に直面し、強いストレスを感じたとします。

すると、ドキドキしたり、お腹が痛くなったりすることはありませんか?

 

これは、感情の変化が、あなたの体の生理的な反応を引き起こしている証拠です。

 

東洋医学では、それぞれの感情が、特定の臓器と深く結びついていると考えます。

まるで、感情が特定のチャンネルで臓器に語りかけ、臓器もまた、感情を通してあなたにメッセージを送っているかのようです。

 

 ・喜び(喜)と心(しん): 

心は、血液を全身に送り出すポンプのような役割をしていますが、東洋医学では、精神活動や意識、感情を司るとも考えられています。

喜びすぎると、心のリズムが乱れ、動悸や不眠につながることがあると言われています。

穏やかな喜びは、心のエネルギーを充電し、体をリラックスさせる効果があると考えられています。

 

 ・怒り(怒)と肝(かん): 

肝は、血液を貯蔵し、全身にスムーズに巡らせる役割を担っています。

また、感情のバランスを保つ働きもあると考えられています。

怒りを感じると、肝のエネルギーが高ぶりすぎ、頭痛やめまい、イライラの原因になることがあります。

 

・憂い・悲しみ(憂・悲)と肺(はい): 

肺は、呼吸を通して体内に酸素を取り込み、不要なものを排出する役割を担っています。

東洋医学では、悲しみや憂いは、肺のエネルギーを消耗させ、呼吸が浅くなったり、息切れしやすくなったりすると考えられています。

 

・思い悩み(思)と脾(ひ): 

脾は、食べ物を消化吸収し、エネルギーに変える大切な役割を担っています。

考えすぎたり、思い悩んだりすると、脾の働きが鈍くなり、食欲不振や消化不良を引き起こすことがあると言われています。

 

・恐れ・驚き(恐・驚)と腎(じん): 

腎は、生命エネルギーの源であり、水分代謝や生殖機能など、体の基本的な働きを支えています。

強い恐怖や驚きは、腎のエネルギーを急速に低下させ、夜尿症や腰痛、耳鳴りの原因になることがあると考えられています。

 

 

 

感情のジェットコースターから降りるには?

 

もしあなたが、感情の波に乗りこなしきれず、心身の不調を感じているなら、東洋医学の知恵がきっと役に立ちます。

感情の起伏を穏やかにし、心と体のバランスを取り戻すための効果的な方法をいくつかご紹介しましょう。

 

・深呼吸で感情のブレーキ: 

怒りや不安を感じたら、まずは深い呼吸とゆっくりとした息を吐くことを繰り返してみてください。

呼吸を意識することで、 神経系が落ち着き、感情的な反応を和らげることができます。

 

・食事で体の内側から穏やかさを: 

バランスの取れた栄養は、心と体の健康の基礎です。

特に、消化の良い温かい食事をゆっくりと摂ることは、脾を労り、感情的な安定につながります

 

・適度な運動で心の余裕を広げる: 

ウォーキングやヨガなど、リズミカルな運動は、ストレスを軽減し、気分を高める効果があります。 体を動かすことで、感情的なエネルギーが健康的な形で解放されるのです。

 

・質の高い睡眠で心と体を再起動: 

睡眠不足は、感情の起伏を大きくする原因の一つです。

規則正しい睡眠リズムを保ち、質の高い睡眠をとることで、心と体はしっかりと再起動され、感情的な安定につながります。

 

 

 

 

感情の引き金になるツボと東洋医学のアプローチ

 

東洋医学には、特定の感情に働きかけると考えられているツボ(経穴)があります。

これらのツボを刺激することで、感情的な緊張を和らげたり、心身のバランスを整えたりする効果が期待できます。

 

ここでは、喜怒哀楽それぞれに働きかける代表的なツボと、その刺激方法をご紹介しましょう。

 

・喜びすぎに:

 

・神門(しんもん):

手首の内側、小指側の付け根にあるシワの上に位置します。

穏やかさをもたらし、 感情的な興奮を鎮めるのに役立つと言われています。

反対側の手の親指で優しく円を描くような動きでマッサージしましょう。

 

・内関(ないかん):

手首の内側、真ん中の2本の腱の間に、手首のシワから指3本分ほど肘に向かったところにあります。

胸苦しさや動悸を和らげ、心のバランスを整えると考えられています。

 

 

・怒りに:

 

・太衝(たいしょう):

足の甲、親指と人差し指の骨が合わさるくぼみに位置します。

肝のエネルギーの流れを整え、イライラや怒りを鎮めるのに役立つと言われています。

指の腹でゆっくりと押さえてみてください。

 

・合谷(ごうこく):

手の甲、親指と人差し指の骨が合わさるくぼみのやや人差し指寄りに位置します。

全身のエネルギーの流れを調整し、 感情的な緊張を和らげる効果が期待できます。

 

 

・憂い・悲しみに:

 

・中府(ちゅうふ):

鎖骨の外側の端の下、指3本分ほど下にあるくぼみに位置します。

肺のエネルギーを高め、呼吸を楽にし、感情的な滞りを解放すると考えられています。

優しく円を描くようにマッサージします。

  

・膻中(だんちゅう):

胸の中央、左右の乳頭を結んだ線の中央に位置します。

感情の中心とも言われ、 不安や悲しみを和らげ、開放的な気持ちを取り戻すのを助けると言われています。

 

 

・思い悩みに:

 

・足三里(あしさんり):

ひざのお皿の下、外側のくぼみから指4本分ほど下にあるツボです。

脾胃の働きを整え、消化を助け、精神的な疲労を和らげると考えられています。

 

・豊隆(ほうりゅう):

ひざのお皿の下、外側のくぼみと外くるぶしのほぼ中間点に位置します。

体内の余分な水分を取り除き、 頭がすっきりとし、思考がクリアになる効果が期待されています。

 

 

・恐れ・驚きに:

 

・湧泉(ゆうせん):

足の裏、土踏まずのやや前方、足の指を曲げたときにできるくぼみに位置します。

腎のエネルギーを高め、グラウンディングを促し、不安や恐怖心を鎮めると考えられています。

お風呂上がりなどに温かいタオルで温めながらマッサージするのもおすすめです。

  

・太谿(たいけい):

内くるぶしとアキレス腱の間のくぼみに位置します。

腎のエネルギーを補い、体のバランスを整え、精神的な安定をもたらすとされています。

 

 

これらのツボは、指圧や温熱刺激などによって刺激ことができます。

ご自身で試してみるのも良いですし、東洋医学の専門家に相談して、よりパーソナルな治療を受けるのも一つの方法です。

 

 

 

 

まとめ:

感情と臓器の繋がりを自覚することから、穏やかな日々が始まる

 

今回は、東洋医学における感情と臓器の深い関係についてご紹介しました。

日々の感情の揺れ動きが、私たちの体の内側に様々な影響を与えていることをご理解いただけたでしょうか。

 

感情の波に上手に乗り、心と体のバランスを保つことは、健康で穏やかな日々を送るための鍵となります。

今回ご紹介したセルフケアの方法やツボ刺激を参考に、ご自身の心と体と向き合い、いたわってあげてください。

 

もし、感情のコントロールが難しいと感じたり、心身の不調が続くようでしたら、無理せず専門家の助けを求めてください。

 

東洋医学は、あなたの心と体がより調和し、輝く未来へと進むためのかけがえのないツールとなってくれるはずです。

パソコン|モバイル
ページトップに戻る