鍼灸施術を受ける際、肌に触れられるとくすぐったくて力が入ってしまうこと、ありますよね?
これは決して珍しいことではありません。
この記事では、東洋医学と生理学の観点から、なぜこのようなことが起こるのかを解説し、不安を軽減するための方法をご紹介します。
肺虚と過敏肌の生理学的解説
まず、東洋医学における「肺虚(はいきょ)」という概念について説明します。
肺虚とは、肺の機能が低下し、エネルギー(気)が不足している状態を指します。
この状態になると、さまざまな症状が現れることがありますが、その中でも特に注目すべきなのが肌の過敏性です。
肺虚の特徴と症状
肺虚の状態になると、以下のような症状が現れることがあります:
- 疲れやすさ:気が不足しているため、日常生活での疲労感が増します。
- 息切れ:肺の機能低下により、呼吸が浅くなりやすく、息切れを感じることがあります。
- 乾燥肌:肺は水分代謝にも関与しているため、肺虚になると肌が乾燥しやすくなります。
- 肌の過敏性:肌が過敏になりやすく、触れられるとくすぐったく感じることがあります。
肌の過敏性と肺虚の関係
肺虚になると、なぜ肌が過敏になるのでしょうか?
その理由は以下のように説明できます:
- 気の不足:気が不足すると、全身のエネルギー循環が滞り、皮膚の防御機能が低下します。これにより、外部からの刺激に対して過敏に反応しやすくなります。
- 血の不足:肺虚はしばしば血虚と関連しており、血が不足すると皮膚や筋肉に十分な栄養が行き渡らず、乾燥やかゆみ、過敏性が増します。
- 水分代謝の異常:肺は水分代謝にも関与しており、肺虚になると水分のバランスが崩れやすくなります。これにより、皮膚が乾燥しやすくなり、過敏性が増します。
- 神経系の影響:東洋医学では、肺は神経系とも関連があるとされています。肺虚になると、神経系のバランスが崩れ、触覚受容体が過剰に反応しやすくなります。
このように、肺虚の概念を理解することで、日常生活での健康管理に役立てることができます。
肌の過敏性と神経系の関係
生理学的には、肌の過敏さは神経系の反応によるものです。
特に、触覚受容体が過剰に反応することで、くすぐったさや不快感を感じることがあります。
これは、ストレスや疲労、栄養不足などが原因で神経系が過敏になっている場合に起こりやすいです。
アトピー性皮膚炎や皮膚疾患の既往歴がある方が肌に触れられると過敏になることについては、いくつかの研究や報告があります。
アトピー性皮膚炎の患者さんは、皮膚のバリア機能が低下しているため、外部からの刺激に対して過敏に反応しやすい状態にあります。
また、皮膚が乾燥しやすく、炎症が起こりやすいことも特徴です。
これにより、触覚受容体が過剰に反応し、くすぐったさや不快感を感じることがあります。
さらに、アトピー性皮膚炎の患者さんは、神経系が過敏になりやすいことが報告されています。
ストレスや疲労、栄養不足などが原因で神経系が過敏になることがあり、これが肌の過敏さに影響を与えることがあります。
このように、アトピー性皮膚炎や皮膚疾患の既往歴がある方が肌に触れられると過敏になることは、複数の要因が関与していると考えられます。
肺の気を充実させる効果的な方法
肺虚を改善し、肌の過敏さを軽減するためには、肺の気を充実させることが重要です。
以下に、効果的な方法をいくつかご紹介します。
- 深呼吸: 毎日深呼吸を行うことで、肺の機能を高め、気の流れを良くします。
- 適度な運動: 軽いジョギングやウォーキングなどの有酸素運動は、肺の気を充実させるのに効果的です。
- バランスの取れた食事: 特に、白い食材(白米、白い魚、豆腐など)は肺の気を補うとされています。
- 鍼灸施術: 専門の鍼灸師による治療も、肺虚の改善に役立ちます。
肺虚で起きる問題をわかりやすく説明
肺虚の状態が続くと、以下のような問題が起こることがあります。
- 免疫力の低下: 肺は免疫機能とも関連しているため、肺虚になると体調を崩しやすくなります。
- 疲労感: 気が不足すると、全身のエネルギーが低下し、疲れやすくなります。
- 肌のトラブル: 肌が乾燥しやすくなり、敏感になることがあります。
これらの問題を防ぐためにも、日常生活で肺の気を充実させることが大切です。
肺虚を改善するための効果的なツボ
以下に、肺虚を改善するための効果的なツボとその場所、期待できる効果を紹介します。
- 肺兪(はいゆ)
- 場所: 背中の第3胸椎と第4胸椎の間、背骨の両側にあります。
- 期待できる効果: 肺の機能を高め、呼吸を楽にし、気の流れを改善します。特に、肺虚による疲労感や息切れの改善に効果的です。
- 中府(ちゅうふ)
- 場所: 鎖骨の下、肩の前側にあります。
- 期待できる効果: 肺の気を補い、呼吸を深くし、肺の機能を高めます。特に、乾燥肌や肌の過敏性の改善に役立ちます。
- 太淵(たいえん)
- 場所: 手首の内側、親指側の手首のしわの上にあります。
- 期待できる効果: 肺の気を補い、呼吸を楽にし、全身のエネルギー循環を改善します。特に、疲労感や息切れの改善に効果的です。
- 合谷(ごうこく)
- 場所: 手の甲、親指と人差し指の間にあります。
- 期待できる効果: 全身の気の流れを調整し、ストレスや緊張を和らげます。特に、神経系の過敏さを軽減するのに役立ちます。
- 太白(たいはく)
- 場所: 足の内側、親指の付け根の少し上にあります。
- 期待できる効果: 消化機能を改善し、全身のエネルギーを補います。特に、疲労感や消化不良の改善に役立ちます。
- 足三里(あしさんり)
- 場所: 膝の下、外側のくぼみにあります。
- 期待できる効果: 免疫力を高め、全身のエネルギーを補います。特に、疲労感や消化不良の改善に効果的です。
- 気海(きかい)
- 場所: おへその下、約3センチのところにあります。
- 期待できる効果: 体のエネルギーを補い、全身の気の流れを改善します。特に、疲労感や冷え性の改善に役立ちます。
これらのツボを適切に刺激することで、肺虚の改善や神経系の過敏さの軽減が期待できます。
これらのツボを使って、せんねん灸を試してみてください。
まとめ
鍼灸施術中に肌に触れられるとくすぐったくて力が入ってしまう理由は、東洋医学の肺虚や生理学的な神経系の過敏さに起因することが多いです。
深呼吸や適度な運動、バランスの取れた食事などを取り入れることで、肺の気を充実させ、肌の過敏さを軽減することができます。
さらに、自宅でのセルフケアとして、せんねん灸を使ったツボ刺激も効果的です。
ぜひこれらの方法を試してみてください。
セルフケアを通じて、健康を維持することができるといいですよね!