現代社会では、パソコンやスマートフォンの長時間使用により、多くの人が目の疲れや乾燥、目がショボショボするなどの症状に悩まされています。
これらの症状は、目の周りの筋肉や首の筋肉、特に斜角筋の緊張が原因であることが多いです。
この記事では、斜角筋の生理学的な役割と、目の疲れを軽減するための効果的な方法について解説します。
斜角筋とは?
斜角筋は、首の側面に位置する筋肉群で、呼吸や首の動きに重要な役割を果たします。
これらの筋肉が緊張すると、首や肩のこりだけでなく、目の疲れや頭痛を引き起こすことがあります。
斜角筋の緊張は、長時間のデスクワークや不良姿勢が原因で悪化することが多いです。
目の疲れを抑える効果的な方法
- 適度な休憩: 1時間ごとに5〜10分の休憩を取り、目を休めることが大切です。遠くの景色を見ることで、目の筋肉をリラックスさせましょう。
- 正しい姿勢: デスクワーク時には、背筋を伸ばし、肩の力を抜くことを意識しましょう。モニターの高さを目の高さに合わせることで、首や肩の負担を軽減できます。
- 目の体操: 目を閉じて、上下左右にゆっくりと動かすことで、目の筋肉をほぐすことができます。
斜角筋の緊張で起きる問題
斜角筋が緊張すると、首や肩のこりだけでなく、血流が悪くなり、目の周りの筋肉にも影響を及ぼします。
これにより、目の疲れや乾燥、ショボショボ感が増すことがあります。
また、斜角筋の緊張は頭痛やめまいの原因にもなり得ます。
鍼灸が効果的な理由
鍼灸は、斜角筋の緊張を緩和するのに非常に効果的です。
鍼灸施術により、筋肉の緊張がほぐれ、血流が改善されることで、目の疲れや肩こりが軽減されます。
また、鍼灸は自律神経のバランスを整える効果もあり、全身のリラクゼーションを促進します。
目の疲れに効果的な食べ物
- ブルーベリー: 抗酸化作用があり、目の健康をサポートします。
- ほうれん草: ルテインやゼアキサンチンが豊富で、目の疲れを軽減します。
- アーモンド: ビタミンEが豊富で、目の乾燥を防ぎます。
斜角筋の詳細解説
斜角筋の解剖学的説明
斜角筋は、首の側面に位置する筋肉群で、前斜角筋、中斜角筋、後斜角筋の3つに分かれています。
これらの筋肉は、頚椎(首の骨)の横突起から始まり、肋骨に付着します。
- 前斜角筋: 第3〜第6頚椎の横突起から始まり、第1肋骨の前面に付着します。
- 中斜角筋: 第2〜第7頚椎の横突起から始まり、第1肋骨の上面に付着します。
- 後斜角筋: 第4〜第6頚椎の横突起から始まり、第2肋骨の外側に付着します。
斜角筋の役割と機能
斜角筋は、首の屈曲や側屈、呼吸補助に関与しています。
特に、深呼吸時には第1肋骨と第2肋骨を引き上げることで、胸郭を広げ、呼吸を助けます。
また、片側の斜角筋が収縮すると、首を同側に傾ける動きが生じます。
星状神経節と斜角筋周囲の神経・血管
斜角筋の周囲には重要な神経や血管が走行しています。
特に、前斜角筋と中斜角筋の間には、腕神経叢(上肢に向かう神経の束)と鎖骨下動脈が通過します。
この部分を「斜角筋隙」と呼びます。
- 星状神経節: 星状神経節は、交感神経系の一部で、頚部と胸部の境界に位置します。斜角筋の近くにあり、これが圧迫されると、自律神経のバランスが崩れ、目や頭、腕や手に影響を及ぼすことがあります。
- 腕神経叢: 前斜角筋と中斜角筋の間を通り、上肢に向かう神経の束です。これが圧迫されると、腕や手にしびれや痛みが生じることがあります。
- 鎖骨下動脈: 同じく前斜角筋と中斜角筋の間を通り、腕や手に血液を供給します。これが圧迫されると、血流が悪くなり、腕や手に冷感や疲労感が生じることがあります。
斜角筋周辺の鍼灸でよく使うツボ
雲門(うんもん)
- 位置: 鎖骨の下を外側にたどっていき、骨にぶつかるところ。へこんでいる部分がツボです。
- 効能: 斜角筋の緊張を緩和し、肩こりや首の痛みを軽減します。また、呼吸を楽にする効果もあります。
扶突(ふとつ)
- 位置: 喉頭隆起(のどぼとけ)の外側3寸(約指4本分)にあり、胸鎖乳突筋の筋中に位置します。
- 効能: 扶突は、喉の腫れや痛み、嚥下困難、咳、喘息などの呼吸器系の症状に効果があります。また、首や肩のこり、ストレス解消にも役立ちます。
天牖(てんゆう)
- 位置: 耳たぶの後ろの骨の後下方にあります。
- 効能: 首のこりや肩こりを緩和します。また、全身のリンパの流れを促進し、のぼせや頭痛の緩和にも効果があります
これらのツボを適切に刺激することで、斜角筋の緊張を緩和し、目の疲れや肩こりを軽減することができます。
目の疲れや斜角筋の緊張に悩んでいる方は、ぜひ鍼灸施術を試してみてください。
専門家の施術により、目の疲れが軽減され、日常生活がより快適になることでしょう。