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「ニンニクや玉ねぎを食べるとお腹にガスが溜まる」と聞いて、驚いている方もいるかもしれませんね。

 

これらの食材は私たちの食生活に欠かせないものですが、実は一部の人にとっては、お腹の不調の原因となることがあるのです。

 

今回は、その謎を生理学的な視点から解き明かし、お腹の不調を減らすための具体的な方法をお伝えします。

ニンニクと玉ねぎが引き起こすガスの正体:FODMAPとは?

 

ニンニクや玉ねぎを食べた後にお腹にガスが溜まったり、張りを感じたりするのは、主にFODMAP(フォドマップ)と呼ばれる特定の糖質が関係しています。

 

FODMAPとは、「Fermentable Oligosaccharides, Disaccharides, Monosaccharides, And Polyols」の頭文字を取ったもので、日本語では「発酵性のオリゴ糖、二糖類、単糖類、ポリオール」と訳されます。

 

ニンニクや玉ねぎに多く含まれるのは、この中の「フルクタン」というオリゴ糖の一種です。

フルクタンは、私たち人間の小腸ではほとんど消化・吸収されません。

そのため、小腸を素通りして大腸まで到達します。

 

大腸には、私たちの健康を支えるたくさんの腸内細菌が住んでいます。

フルクタンが大腸に到達すると、これらの腸内細菌がフルクタンをエサにして発酵(分解)を始めます。

 

この発酵の過程で、ガス(水素ガスやメタンガスなど)が大量に発生するのです。

これが、お腹の張りやガスの原因となります。

 

 

 

 

過敏性腸症候群(IBS)とニンニク・玉ねぎの関係

 

「ガスが溜まる」という症状が特に顕著に現れるのが、過敏性腸症候群(IBS)の方々です。

 

IBSは、大腸に炎症や潰瘍などの病変がないにもかかわらず、お腹の痛みや不快感、便秘や下痢などの便通異常が続く病気です。

日本人の10人に1人がIBSに悩まされていると言われており、日常生活に大きな影響を与えることがあります。

 

IBSの症状には個人差がありますが、特にFODMAPの摂取によって症状が悪化しやすいことが知られています。

これは、IBSの方が内臓の感受性が高いためと考えられています。

つまり、通常の人であれば問題とならない程度のガスの発生や腸の動きでも、痛みや不快感を強く感じてしまうのです。

 

さらに、FODMAPは腸管内に水分を引き寄せる性質もあります。

これにより、腸の内容物が増え、お腹の膨満感や下痢といった症状を引き起こすこともあります。

 

 

 

 

ガスや膨満感を抑える効果的な方法

 

では、ニンニクや玉ねぎによるお腹の不調を減らすためにはどうすれば良いのでしょうか?

 

1. 低FODMAP食を試してみる

最も効果的な方法の一つが、低FODMAP食を試すことです。低FODMAP食とは、FODMAPを多く含む食品の摂取を一時的に制限し、症状が改善したら少しずつFODMAPを含む食品を再導入していく食事療法です。

 

高FODMAP食品の例(控えることを検討):

  • ニンニク、玉ねぎ: これらは特にフルクタンを多く含みます。生だけでなく、加熱してもFODMAPが完全に分解されるわけではないため、症状が出る場合は量に注意が必要です。

  • 小麦を多く含むパン、パスタ: これらはフルクタンを多く含むため、高FODMAP食品です。ただし、サワードウ(天然酵母パン)スペルト小麦など、一部のパンは発酵の過程でFODMAPが減少し、低FODMAPとなる場合があります(個人差があります)。

  • 牛乳、ヨーグルト(乳糖不耐症の場合): これは乳糖(ラクトース)がFODMAPの一種であるためです。乳糖不耐症でない人でも、大量に摂取すると症状が出ることがあります。

  • リンゴ、マンゴー、アボカド: これらは特定の単糖類(フルクトース)やポリオールを多く含むため、高FODMAPです。

  • 豆類(大豆、レンズ豆など): ガラクトオリゴ糖を多く含むため、高FODMAPです。ただし、木綿豆腐など、加工方法によってFODMAPが減るものもあります。

  • 人工甘味料(キシリトール、ソルビトールなど): これらはポリオールに分類され、お腹の不調を引き起こすことがあります。
     

低FODMAP食品の例(比較的安心して食べられる):

  • 米、米粉パン: これらはFODMAPを含まないため、安全に食べられます。

  • 乳糖を含まない牛乳やヨーグルト、アーモンドミルク: 乳糖が除去されているか、元々乳糖を含まないため、低FODMAPです。

  • バナナ、オレンジ、ブドウ: フルクトースが他のFODMAPとバランスよく含まれているか、FODMAPの含有量が少ないため、低FODMAPとされています。ただし、熟しすぎたバナナはフルクトース量が増えることがあります。

  • 鶏肉、魚、卵: タンパク質でありFODMAPをほとんど含まないため、安心して食べられます。

  • 一部の野菜(ほうれん草、人参、じゃがいもなど): これらはFODMAPの含有量が少ない野菜です。他にも、レタス、きゅうり、トマト、かぼちゃなども低FODMAPとされています。

低FODMAP食は専門的な知識が必要となるため、自己判断ではなく、専門家のアドバイスを受けながら行うことを強くお勧めします。

 

2. 調理法を工夫する

ニンニクや玉ねぎのFODMAPは水溶性です。そのため、水にさらしたり、油でじっくり加熱したりすることで、FODMAPの量を減らせる可能性があります。

例えば、ニンニクの香りをつけたい場合は、ニンニクを丸ごと油に入れて、香りだけを油に移し、ニンニク自体は取り除く、といった方法も有効です。

 

3. 食事の量と食べ方に注意する

一度に大量のニンニクや玉ねぎを摂取すると、FODMAPの量が増え、症状が悪化しやすくなります。少量から試してみて、自分のお腹の調子を見ながら量を調整することが大切です。また、よく噛んでゆっくり食べることで、消化の負担を減らすことができます。

 

 

 

 

最後に

 

ニンニクや玉ねぎは、私たちの食生活に風味と栄養をもたらしてくれる素晴らしい食材です。しかし、お腹の不調に悩んでいる方は、これらの食材が原因となっている可能性も考えてみてください。

 

今回の記事で、ニンニクや玉ねぎによるガスのメカニズムと、その対処法についてご理解いただけたでしょうか? 

 

もしお腹の不調が続くようでしたら、我慢せずに医療機関を受診し、適切な診断とアドバイスを受けてくださいね。

 

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