
私たちの体は、目に見えない無数の脅威に常にさらされています。
しかし、ご安心ください。私たちには、それらの脅威から身を守る
免疫系は、いわば体内の精鋭部隊。一体何とたたかっているのでし
免疫系の「敵」とは?
免疫系は、私たちの体に害を及ぼす可能性のあるあらゆる異物や異
その「敵」は、私たちが思っている以上に多様です。
1. 外部からの侵入者(病原体)
これらは、私たちの体に害を及ぼす可能性のある、外から入り込ん
・細菌(バクテリア):
食中毒の原因菌(サルモネラ菌、O157など)、肺炎を引き起こ
・ウイルス:
風邪ウイルス、インフルエンザウイルス、新型コロナウイルスなど
・真菌(カビ):
水虫の原因菌、カンジダ菌など、皮膚や粘膜、時には内臓に感染症
マラリア原虫や条虫(サナダムシ)など、体内に寄生して栄養を奪
・毒素:
細菌が作り出す毒素(例:ボツリヌス毒素)や、特定の動植物が持
2. 体内で発生する異常な細胞
免疫系は、外部からの侵入者だけでなく、体内で生じる問題にも対
・がん細胞:
私たちの体内では、日々、異常な細胞(がん細胞のもと)が発生し
・ウイルス感染細胞:
ウイルスは細胞に侵入して増殖するため、免疫系はウイルスに感染
・自己抗原(自己免疫疾患):
本来は自分の体を構成する成分であるにもかかわらず、何らかの原
3. アレルゲン
アレルギーは、免疫系が本来無害な物質(アレルゲン)を異物と誤
4. 炎症(反応の制御)
炎症に抵抗するのも、免疫系の重要な役割の一つです。
炎症は、免疫系が異物(細菌やウイルスなど)の侵入や、細胞の損
具体的には、患部に血液を集めて免疫細胞を送り込み、異物を排除
しかし、この炎症反応は、ときに過剰に起こったり、慢性化したり
免疫系は、異物を排除するだけでなく、この炎症反応が適切に制御
炎症を促進する物質と、炎症を抑える物質(サイトカインなど)の
5. その他の考えられる敵
・環境中の有害物質:
大気汚染物質(PM2.5など)や、特定の化学物質などが体内に
・死んだ細胞や損傷した細胞:
ケガや病気によって細胞が死んだり、組織が損傷したりすると、そ
・重金属:
水銀、鉛などの重金属が体内に蓄積すると、免疫系に有害な影響を
・異常なタンパク質集合体:
アルツハイマー病など一部の神経変性疾患で見られる、異常な形に
免疫系が弱まると何が起きる?
免疫系が弱まると、私たちの体はさまざまな脅威に対して無防備に
・感染症にかかりやすくなる:
風邪やインフルエンザにかかりやすくなったり、一度かかると治り
・がんのリスクが高まる:
異常な細胞を排除する機能が低下するため、がん細胞が増殖しやす
・アレルギーが悪化する:
免疫系のバランスが崩れることで、アレルギー症状が悪化する可能
・自己免疫疾患のリスク:
免疫系が自分自身の細胞や組織を攻撃してしまう自己免疫疾患の発
免疫系を強くする効果的な方法
私たちの健康を守るために不可欠な免疫系を、常に強く保つために
・バランスの取れた食事:
さまざまな種類の栄養素をバランスよく摂ることが重要です。特に
・十分な睡眠:
睡眠不足は免疫力を著しく低下させます。毎日7〜8時間を目安に
・適度な運動:
適度な運動は、免疫細胞の活性化を促します。ウォーキングやジョ
・ストレスを溜めない:
ストレスは免疫系に悪影響を及ぼします。趣味の時間を作ったり、
・体を冷やさない:
体温が下がると免疫力も低下すると言われています。温かい飲み物
・禁煙・節酒:
喫煙や過度な飲酒は、免疫細胞の働きを妨げ、免疫力を低下させま
鍼灸と免疫力:東洋医学の視点から
近年、鍼灸(しんきゅう)が免疫力を高めるという研究も進んでい
鍼灸は、体にある特定の点(ツボ、または経穴)に細い鍼を刺した
東洋医学では、私たちの体には「気(き)」という生命エネルギー
鍼灸は、この気の流れを整えることで、体が本来持っている治癒力
では、具体的に鍼灸がどのようにして免疫力を高めるのでしょうか
大きく分けて、次の3つのメカニズムが考えられます。
1. ストレスの軽減と自律神経の調整
現代社会はストレスに満ちていますよね。ストレスが強いと、私た
2. 血流の改善と栄養・酸素の供給
私たちの血液は、体中に酸素や栄養素を運び、老廃物を回収する大
3. 免疫細胞そのものの活性化
最新の研究では、鍼灸が直接的に免疫細胞に働きかけ、その活動を
免疫系は、私たちの健康を守る上で最も重要な防御システムです。