
現代社会では、ストレスや食生活の乱れから、胃腸の不調に悩む人が増えています。下痢、便秘、腹痛……これらの症状はつらいものですが、原因は人によってさまざま。
東洋医学では、胃腸の不調を「単なる症状」として捉えるのではなく、その人の体質や状態に合わせた根本的な改善を目指します。あなたの不調は、体に余分なものが多い「実(じつ)」のタイプでしょうか? それとも、エネルギーが不足している「虚(きょ)」のタイプでしょうか?
この記事では、下痢・便秘・腹痛をタイプ別に分け、東洋医学の観点から原因と具体的な改善策をご紹介します。ご自身の状態に合ったケアを知ることで、薬に頼らない健やかな毎日を取り戻しましょう。
東洋医学では「脾胃(ひい)」が飲食物を消化・吸収し、
脾胃の働きが乱れると、下痢や便秘、
さらに診断では、体に余分なもの(熱・湿・滞り)が多い状態を
1. 下痢
・臭いが強い、食べすぎタイプ
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症状:急な下痢、腹痛、便のにおいが強い、
口の苦みや胃のつかえ。 -
治療の考え方:余分な食べ物や熱を取り除き、
胃腸をすっきりさせる。 -
鍼灸:中脘(ちゅうかん)、天枢(てんすう)、合谷(ごうこく)
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食事:油っこいものや辛いものを避け、大根やもやし、
おかゆなど消化のよい食材。 -
セルフケア:お腹を冷やしすぎない。
断食せず少量のおかゆで整え、天枢をやさしく押す。
・冷えや疲れで続くタイプ
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症状:慢性的な下痢、軟便が続く、冷たいものを食べると悪化、
疲れやすい、手足が冷える。 -
治療の考え方:胃腸を温め、消化吸収を助ける。
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鍼灸:足三里(あしさんり)、脾兪(ひゆ)、腎兪(じんゆ)
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食事:温かいスープ、しょうが、かぼちゃ、雑炊など。
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セルフケア:腹巻きやカイロでお腹を温める。
白湯をこまめに飲み、足三里や三陰交にお灸。
2. 便秘
・硬くて出にくいタイプ
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症状:便が硬く出にくい、口の渇き、顔が赤い、イライラ、
腹部の張り。 -
治療の考え方:余分な熱を冷まし、腸の動きを促す。
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鍼灸:大腸兪(だいちょうゆ)、天枢、合谷
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食事:梨、きゅうり、バナナ、緑茶など。
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セルフケア:ストレッチや軽い運動をする。水分を多めに摂り、
合谷や大腸兪をマッサージ。
・力がなく出せないタイプ
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症状:便がコロコロで力が入らない、顔色が青白い、疲れやすい、
息切れ。 -
治療の考え方:体力や栄養を補い、腸を潤す。
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鍼灸:足三里、脾兪、関元
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食事:黒ごま、はちみつ、ほうれん草、なつめ、山芋など。
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セルフケア:温野菜や雑炊で体を補う。夜更かしを避け、
関元や足三里を温める。
3. 腹痛
・ガスや冷たい物で痛むタイプ
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症状:冷たい飲食後の腹痛、張ったような痛み、ガスが多い。
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治療の考え方:冷えを取り除き、気の巡りを良くする。
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鍼灸:中脘、気海、内関
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食事:しょうが湯、ネギ、シナモンなど。
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セルフケア:腹部を温める。
ガス抜きに時計回りでお腹をマッサージ。
・冷えや疲れでじわじわ痛むタイプ
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症状:慢性的な鈍い痛み、温めると楽になる、食欲不振、倦怠感。
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治療の考え方:胃腸を補い、体力と血のめぐりを充実させる。
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鍼灸:足三里、三陰交、脾兪
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食事:雑炊、温野菜、鶏肉、黒豆など。
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セルフケア:お腹を腹巻きやお灸で温める。小分けに食事をし、
足三里にお灸。
まとめ
胃腸の不調は、「余分が多いタイプ」と「冷えや不足のタイプ」
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臭いや食べすぎで起こる下痢 → 胃腸をすっきり整える
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冷えや疲れで続く下痢 → 温めて補う
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硬くて出にくい便秘 → 水分と流れを促す
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力がなく出せない便秘 → 栄養と体力を補う
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ガスや冷飲食での腹痛 → 巡りを良くして温める
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冷えや疲れで続く腹痛 → お灸や温食で支える
自分のタイプを知り、食事・ツボ・セルフケアを工夫することで、