
「夜眠れない」
「朝起きても疲れが残っている」
「動悸がして不安になる」
「理由もなくイライラする」
こうした不調を抱えている方は、とても多いです。
しかし病院で検査をしても「異常なし」と言われるケースが少なくありません。
その背景にあるのが、自律神経の乱れです。
今日は、自律神経が乱れる理由とセルフチェック、そして東洋医学の考え方に基づいたツボ押しのケアまで、初心者の方にもわかりやすくお話しします。
自律神経ってなに?
自律神経は、私たちが意識しなくても体を24時間動かしてくれている「体の司令塔」です。
・心臓を動かす
・呼吸を整える
・食べたものを消化する
・体温を一定に保つ
すべて自律神経がコントロールしています。
この自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2つがあります。
・交感神経:活動モード(昼に優位になる)
・副交感神経:休息モード(夜に優位になる)
この2つがシーソーのように切り替わることで、体と心のバランスが保たれています。
自律神経が乱れる4つの理由
1. ストレス
仕事、人間関係、将来の不安…。
ストレスが続くと交感神経ばかり優位になり、体が「戦闘モード」から抜けられなくなります。
2. 生活習慣の乱れ
夜更かし、スマホの見すぎ、運動不足。
これらは副交感神経が働くタイミングを奪い、体が休めなくなります。
3. ホルモンバランスの変化
更年期や自己免疫疾患ではホルモンが大きく揺れます。
自律神経とホルモンは影響し合うため、どちらかが乱れるともう一方も不安定になります。
4. 食生活の偏り
甘いもの、加工食品、アルコールが続くと腸内環境が乱れます。
腸と自律神経はつながっているので、その影響は心や体調にも及びます。
自律神経セルフチェック
次の項目に当てはまるものがいくつあるか確認してみましょう。
- 朝スッキリ起きられない
- 日中に強い眠気がある
- ちょっとしたことでイライラする
- 手足が冷える
- 胃腸の調子が不安定
- 急に汗をかく
- 夜中に目が覚める
2つ以上あれば、自律神経が疲れている可能性があります。
東洋医学の視点
東洋医学では、自律神経の乱れを「気・血・水の巡りの滞り」として考えます。
- 気(エネルギー)の流れが滞る → イライラ、不安、頭痛
- 血(血液)の巡りが悪い → 冷え、肩こり、疲労感
- 水(体内の水分)の巡りが乱れる → むくみ、めまい、だるさ
鍼灸はツボを刺激してこの流れを整える療法です。
ここでは、自宅でもできるセルフケアとして「ツボ押し」をご紹介します。
気・血・水を整えるツボ
1. 気を整えるツボ「合谷(ごうこく)」
- 場所:手の甲、親指と人差し指の骨が交わるくぼみ
- 効果:ストレスやイライラを和らげ、気持ちを落ち着ける
- 押し方:反対の親指でじんわり5秒押して離す。5回繰り返す
気分が落ち着かないとき、緊張しているときにおすすめ。
2. 血を整えるツボ「血海(けっかい)」
- 場所:ひざのお皿の内側上から指3本分のところ
- 効果:血流改善、冷えや疲労、女性の不調に効果的
- 押し方:指で円を描くように30秒ほどやさしくマッサージ
足が冷える人、肩こりがある人におすすめ。
3. 水を整えるツボ「陰陵泉(いんりょうせん)」
- 場所:ひざ下の内側、すねの骨に沿って下がり、指が止まるくぼみ
- 効果:むくみ、だるさ、胃腸の不調に有効
- 押し方:親指で5秒押して離す。左右を1分ずつ
むくみが強いとき、体が重く感じるときにおすすめ。
自律神経を整える習慣3選
ツボ押しと一緒に、生活習慣の中でできるシンプルな工夫を取り入れるとさらに効果的です。
- 朝日を浴びる ☀️
5分で体内時計がリセットされ、交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズに。 - 深呼吸をする ️
4秒吸って、6秒吐く。副交感神経が優位になりリラックスできます。 - 寝る30分前にスマホをオフ
ブルーライトが交感神経を刺激するのを防ぎ、睡眠の質を高めます。
臨床からの一例
40代女性。
「仕事中に急に動悸がして不安になる」「病院では異常なし」と言われていました。
週に1回の鍼灸治療と、毎日の深呼吸+陰陵泉のツボ押しを続けていただいたところ、3週間で「夜中に目が覚めなくなった」「動悸の回数が減った」と変化が見られました。
完全にゼロにはならなくても、「生活がラクになった」と感じることが体質改善の大きな一歩です。
まとめ
- 自律神経は体の司令塔
- ストレス・生活習慣・ホルモン・食生活で乱れやすい
- チェックリストで今の状態を確認できる
- 東洋医学では「気・血・水の流れの滞り」と考える
- 合谷・血海・陰陵泉のツボ押しでセルフケア可能
- 朝日・呼吸・スマホオフの習慣で改善が加速
薬に頼るだけではなく、日常の中に小さな工夫を取り入れることで、自律神経は少しずつ整っていきます。