前回の記事では、「糖質は1日にどのくらい必要なのか」についてお話ししました。
今回は、糖質と同じように、私たちの体に欠かせない「タンパク質」についてです。
タンパク質というと、
「筋トレをしている人が摂るもの」
「プロテインを飲む人に必要なもの」
というイメージがあるかもしれません。
しかし実際には、運動をしているかどうかに関係なく、すべての人に毎日必要な栄養素です。
では、1日に何グラム摂ればよいのでしょうか。今回は、数字が苦手な方にもわかるように解説します。
タンパク質は「体をつくる材料」
タンパク質は、筋肉だけをつくっているわけではありません。
- 筋肉
- 内臓
- 皮膚
- 髪や爪
- 血液
- 消化や代謝に関わる酵素
- 一部のホルモン
- 免疫を支える抗体
このように、体の形をつくる材料にも、体の働きを調整する材料にも使われています。
食事から摂ったタンパク質は、消化によって「アミノ酸」という小さな単位に分解されます。そのアミノ酸を組み合わせ直し、体がそのとき必要としている筋肉や酵素、抗体などをつくります。
つまりタンパク質は、建物でいえば柱や壁の材料であると同時に、建物を動かす設備の部品でもあるのです。
体は毎日、少しずつつくり替えられている
私たちの体は、完成したらそのままではありません。
古くなったタンパク質を分解し、新しいタンパク質につくり替える作業を、毎日繰り返しています。
これを「代謝」や「ターンオーバー」と呼びます。
そのため、「昨日たくさん食べたから、今日は摂らなくてもよい」とはなりません。
体重や活動量に合った量を、日々の食事から補うことが大切です。
1日に必要なタンパク質は何グラム?
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人の1日当たりの推奨量は、概ね次のように示されています。
- 成人男性:65g(65歳以上は60g)
- 成人女性:50g
ただし、これは性別と年齢ごとに設定された基準です。実際には、体格、運動量、年齢、妊娠・授乳、病気の有無などによって適量が変わります。
自分の体格に合わせて大まかに考えるなら、健康な成人では、まずは次の計算がひとつの目安になります。
体重1kg当たり約1g/日
たとえば、
- 体重50kgの人:約50g
- 体重60kgの人:約60g
- 体重70kgの人:約70g
となります。
迷う場合は、まず「体重×1g」を目標にすると覚えやすいでしょう。
ただし、これは健康な成人が日常の食事を考えるための大まかな目安であり、全員に一律に当てはまる量ではありません。
高齢の方、運動量が多い方、筋力トレーニングをしている方、減量中の方などは、もう少し多く必要になることがあります。
一方、腎臓病などでタンパク質量の調整を指示されている方は、自己判断で増やさず、医師や管理栄養士に確認してください。
「肉を100g食べたら、タンパク質も100g」は間違い
ここは、とても間違えやすいところです。
食品そのものの重さと、そこに含まれるタンパク質の量は同じではありません。
食品や商品によって差はありますが、おおよそのタンパク質量は次の通りです。
- 卵1個:約6g
- 納豆1パック:約7g
- 木綿豆腐150g:約10g
- 魚100g:約20g前後
- 鶏むね肉100g:約20〜25g
- 牛乳200ml:約7g
- ヨーグルト100g:約4g
「鶏肉を100g食べたから、タンパク質を100g摂った」ということではないので注意しましょう。
1日60gを摂る食事のイメージ
タンパク質60gと聞くと、多く感じるかもしれません。しかし、3回の食事に分けると考えやすくなります。
朝食
納豆1パック+卵1個+ごはん
→ 約16〜17g
昼食
焼き魚80〜100g+ごはん
→ 約22〜25g
夕食
鶏肉100g+豆腐や野菜のおかず+ごはん
→ 約25〜30g
これで、1日およそ60〜70gになります。
細かく計算し続けるのが大変な方は、毎食「手のひら1枚分くらいの肉や魚」を主菜にする、または卵・大豆製品・乳製品などを組み合わせる、と考えると実践しやすくなります。
大切なのは「夜にまとめて」ではなく「3食に分ける」こと
実際に食事内容を伺っていると、
「朝はパンとコーヒーだけ」
「昼はおにぎりや麺だけ」
「夜に初めて肉や魚を食べる」
という方が少なくありません。
これでは、1日の合計量が不足しやすいだけでなく、朝と昼にタンパク質がほとんど入っていない状態になります。
一度にまとめて食べるよりも、朝・昼・夕に分けて摂るほうが、毎日の食事として無理なく続けやすく、それぞれの食事で体の材料を補えます。
特に朝食は不足しやすいため、まずは次の中から一つ足してみてください。
- 卵
- 納豆
- 豆腐入りのみそ汁
- 魚
- ヨーグルト
- 無調整豆乳
いきなり完璧を目指す必要はありません。
「朝食に卵を1個加える」
そこからでも、十分な一歩です。
タンパク質だけ増やせばよいわけではありません
タンパク質は重要ですが、タンパク質だけで健康な体がつくられるわけではありません。
エネルギー源となる糖質や脂質が極端に不足すると、摂ったタンパク質が体の材料ではなく、エネルギーとして使われやすくなります。
また、肉ばかりに偏れば、脂質が多くなったり、野菜や食物繊維が不足したりすることもあります。
肉、魚、卵、大豆製品などを偏りなく選び、主食や野菜も一緒に摂ることが大切です。
前回お話しした糖質も、今回のタンパク質も、どちらかを悪者にする必要はありません。
大切なのは、自分の体に必要な量を知り、バランスよく摂ることです。
まとめ
タンパク質は筋肉だけでなく、内臓、皮膚、髪、酵素、ホルモン、免疫に関わる物質など、体のさまざまな部分をつくる材料です。
健康な成人であれば、まずは1日「体重×約1g」を大まかな目安にし、3食に分けて摂ってみてください。
そして、いきなりプロテインに頼る前に、今日の朝食と昼食に、卵、魚、納豆、豆腐、肉などが入っていたかを振り返ってみましょう。
疲れやすさや体力の低下には、さまざまな原因があります。
食事を見直すときには、「カロリーを摂っているか」だけでなく、「体をつくる材料が足りているか」という視点も大切です。
まずは次の食事に、タンパク質を一品加えるところから始めてみてください。