炎症が続くと、なぜ血糖まで乱れやすくなるのか
前回の記事では、体に合わない食べ物などによって腸に負担がかかり、炎症が続くと、腸だけではなく全身の不調につながる可能性があることをお話ししました。
今回はその続きとして、
腸の炎症が、なぜコルチゾールや血糖の乱れにつながるのか
を、できるだけわかりやすく説明します。
炎症が続くと、体は「緊急事態」だと判断する
体内で炎症が起こると、免疫はそれを抑えようとして働きます。
この情報は脳にも伝わり、脳は、
「体の中で何か問題が起きている」
「今はエネルギーを確保しなければならない」
と判断します。
すると脳は、副腎にコルチゾールを出すよう指示します。
流れを簡単にすると、次のようになります。
腸への負担
↓
炎症が起こる
↓
脳がストレスを感じる
↓
コルチゾールが分泌される
↓
血糖を保とうとする
腸の問題が、少しずつ全身の調節に影響していくのです。
コルチゾールは悪いホルモンではありません
コルチゾールというと、「ストレスホルモンだから悪いもの」と思われるかもしれません。
しかし、本来は私たちが生きていくために欠かせないホルモンです。
コルチゾールには、炎症を調節したり、血圧を保ったり、必要なときに血糖を上げてエネルギーを確保したりする働きがあります。
朝にコルチゾールが増えることで、私たちは目を覚まし、活動を始められます。
問題は、コルチゾールそのものではありません。
炎症や睡眠不足、精神的なストレスなどが重なり、コルチゾールを必要とする状態が長く続くことです。
炎症と血糖はどのようにつながっているのか
脳や筋肉、免疫が働くためには、エネルギーが必要です。
体がストレスを感じると、コルチゾールは肝臓に働きかけ、蓄えているエネルギーを使って血液中のブドウ糖を増やそうとします。
これは、体を守るための正常な反応です。
しかし、この状態が何度も続くと、人によっては血糖の上下が大きくなりやすくなります。
特に、
- 朝食を抜く
- 空腹の時間が長い
- 甘い物だけを食べる
- パンや麺だけで食事を済ませる
- 空腹時にコーヒーを飲む
- 睡眠不足が続いている
といった習慣が重なると、血糖の安定がさらに難しくなることがあります。
食後に血糖が急に上がると、それを下げるためにインスリンが分泌されます。
その後、血糖が大きく下がると、
「エネルギーが足りない」
と体が判断し、今度はコルチゾールやアドレナリンを使って血糖を戻そうとします。
そのときに、
- 急に疲れる
- 強い眠気が出る
- 甘い物が欲しくなる
- イライラする
- 動悸がする
- 手が震える
- 頭がぼんやりする
- 集中力が続かない
といった症状が現れることがあります。
なお、このような症状があるからといって、必ずしも医学的な低血糖が起きているとは限りません。
血糖の変化に加えて、自律神経や睡眠、食事内容などが重なって症状が出ている可能性もあります。
「コルチゾールを使い切る」というわけではない
長期間ストレスが続くと、「副腎が疲れてコルチゾールを出せなくなる」と説明されることがあります。
ただし、実際にはコルチゾールを使い切って空になる、という単純な仕組みではありません。
脳と副腎の連携や、朝と夜の分泌リズム、ストレスに対する反応の仕方など、体全体の調節がうまくいかなくなっていると考えた方が自然です。
その結果、
- 朝から体が動かない
- 午前中に頭が働かない
- 午後になると強く疲れる
- 夜になると逆に元気になる
- 寝ても回復した感じがしない
- 食事を抜くと急に調子が悪くなる
といった状態が起こることがあります。
鍼灸師として見る「疲れのつながり」
臨床では、「疲れが取れない」という一つの症状だけを見ないようにしています。
食後に眠くならないか、空腹時に体調が悪くならないか、朝と夜で調子が違わないか、お腹の張りや便通の変化はないか、睡眠は安定しているか。
こうしたことを一つずつ確認していくと、
腸・炎症・血糖・自律神経・睡眠
が別々の問題ではなく、つながっていることがあります。
鍼灸では呼吸の浅さや筋肉の緊張、腹部の状態なども確認しながら、体が緊張し続けている背景を探します。
鍼灸だけですべてを解決するということではありません。
食事や睡眠を整えながら鍼灸を組み合わせることで、体が回復しやすい環境を作っていくことが大切です。
今日からできる3つのこと
1.空腹の時間を長くしすぎない
空腹になると強い疲労感やイライラ、動悸などが出る人は、食事を抜かず、食べる時間を大きく乱さないようにしてみましょう。
2.糖質だけで食べない
おにぎりやパン、甘い物だけではなく、卵、魚、肉、豆腐などのタンパク質や、野菜、適量の脂質を組み合わせます。
糖質を完全に抜くのではなく、急激に吸収されにくい食べ方を意識することが大切です。
3.食後の変化を記録する
食べた物だけではなく、食後の眠気、疲労感、頭のぼんやり、甘い物への欲求、お腹の張りなども簡単に記録してみてください。
体調が悪くなる時間と食事の間に、共通点が見つかることがあります。
まとめ
疲れが抜けない原因は、単なる体力不足とは限りません。
腸への負担から炎症が続き、体がコルチゾールを必要とする状態になると、血糖や自律神経、睡眠の調節にも影響が広がることがあります。
大切なのは、「副腎が疲れ切ったから、もう回復できない」と悲観しすぎないことです。
体は壊れてしまったのではなく、負担の多い環境に適応しようとしているのかもしれません。
食事、睡眠、腸の状態、ストレスへの対処を一つずつ見直すことで、体の調節が少しずつ戻っていく可能性があります。
次回は、
「血糖が乱れているときに現れやすい体のサイン」
について、具体的な症状や時間帯から見分ける方法をお話しします。