甘い物やコーヒーに頼らず、午後を楽に過ごすために
空腹になるとイライラしたり、集中できなくなったりする。
前回の記事では、このような不調と食事後の血糖の変化との関係についてお伝えしました。
今回はその続編として、血糖の変化を穏やかにするために、朝食・昼食・間食をどのように組み立てればよいのかを、具体的にご紹介します。
見落とされやすいのは「糖質の量」より組み合わせ
血糖が気になると、
「ご飯を減らした方がよいのでは?」
「糖質を食べない方がよいのでは?」
と考える人が少なくありません。
しかし、大切なのは糖質を一律に減らすことではなく、何と組み合わせ、いつ、どのくらい食べるかです。
パンだけ、おにぎりだけ、麺だけという食事では、炭水化物に偏りやすくなります。
そこに肉、魚、卵、大豆製品などの主菜や、野菜、きのこ、海藻などの副菜を加えることで、食事全体のバランスが整います。
厚生労働省も、栄養バランスに配慮した食事の目安として「主食・主菜・副菜」の組み合わせを示しています。厚生労働省「第4次食育推進基本計画」
体内では何が起きているのか
ご飯やパン、麺、甘い飲み物などに含まれる糖質は、消化されるとブドウ糖になり、血液を通して全身のエネルギーとして使われます。
糖質だけの食事では、吸収が速くなり、血糖が大きく変化する場合があります。
一方、タンパク質や食物繊維を含む食品を組み合わせると、消化吸収の進み方が変わり、食後の血糖変化が比較的穏やかになることがあります。
野菜やタンパク質を含む料理を先に食べ、炭水化物を後に食べる方法についても、食後血糖の上昇が穏やかになった研究があります。
ただし、食べる順番だけですべてが解決するわけではありません。食べる順番と食後血糖の研究
朝食は「主食+タンパク質」を意識する
朝食を菓子パンとコーヒーだけで済ませている人や、何も食べずにコーヒーだけを飲んでいる人は、午前中や昼食後に体調が崩れやすいことがあります。
朝食では、次のような組み合わせがおすすめです。
- ご飯+卵または納豆+味噌汁
- トースト+卵またはツナ+スープ
- 小さなおにぎり+豆腐や卵の入った味噌汁
- オートミール+無糖ヨーグルトや豆乳+少量のナッツ
朝は食欲がないという人は、無理にたくさん食べる必要はありません。
味噌汁、卵、豆乳、小さなおにぎりなど、食べられるものを少量から始めてみてください。
昼食は「炭水化物だけ」を避ける
昼食後に眠くなる人は、まず昼食の内容を確認してみましょう。
ラーメン、うどん、パスタ、丼物だけになっている場合は、タンパク質や野菜を加えます。
例えば、
- おにぎり+ゆで卵+野菜スープ
- そば+卵+わかめ+肉や豆腐
- パスタ+魚や鶏肉+サラダ
- ご飯+主菜+副菜の定食
といった組み合わせです。
食事を極端に減らすよりも、主食・主菜・副菜をそろえることから始めた方が、続けやすくなります。
間食は「甘い物を我慢するため」ではなく補うため
昼食から夕食までの時間が長く、夕方になると急に疲れる人には、間食が役立つことがあります。
おすすめは、
- 無糖ヨーグルト
- 少量のナッツ
- ゆで卵
- チーズ
- 無調整豆乳
- 小さなおにぎりと少量のタンパク質
などです。
間食は、お菓子を無制限に食べることではありません。次の食事まで体のエネルギーをつなぐための「小さな補食」と考えます。
ただし、食事の間隔や必要な量には個人差があります。すべての人に同じ食べ方が合うわけではありません。
鍼灸師として確認していること
施術の現場では、食事内容だけでなく、症状が出る時間にも注目します。
朝食を抜いた日に悪化するのか。
昼食から何時間後に甘い物が欲しくなるのか。
夕方に首や肩が緊張し、呼吸が浅くなっていないか。
夜中に目が覚め、翌朝まで疲れが残っていないか。
血糖、睡眠、自律神経、胃腸の働きは、互いに影響し合っています。
鍼灸では、首や肩、みぞおち、お腹などの緊張を確認し、呼吸や睡眠を含めて体が回復しやすい状態を目指します。
ただし、鍼灸だけですべてを整えようとするのではなく、毎日の食事や睡眠を一緒に見直すことが大切です。
今日からできる3つのこと
1.朝食にタンパク質を一品加える
卵、納豆、豆腐、魚、ヨーグルトなど、続けやすいものを一つ選びます。
2.昼食を炭水化物だけにしない
麺やおにぎりだけの日は、卵、肉、魚、大豆製品、野菜スープなどを加えます。
3.食事と症状の時間を記録する
食べた時間と内容、眠気や疲労感、甘い物が欲しくなった時間を3日間だけ記録してみましょう。
自分に合う食べ方を見つけるには、一般的な正解よりも、自分の体の反応を観察することが重要です。
医療機関へ相談してほしい場合
強い冷や汗、手の震え、動悸、意識が遠のく感じ、失神などがある場合は、自己判断で食事だけを調整せず、医療機関へ相談してください。
糖尿病の薬やインスリンを使用している人は、間食や糖質量を変更する前に主治医への確認が必要です。
強い喉の渇き、尿の回数の増加、急激な体重減少などがある場合も、早めに検査を受けましょう。
まとめ
血糖を安定させるために、糖質を完全に避ける必要はありません。
大切なのは、
- 糖質だけで食事を終わらせない
- タンパク質や野菜を組み合わせる
- 食事の間隔を空けすぎない
- 食事と症状が出る時間を観察する
ということです。
完璧な食事を目指す必要はありません。まずは「いつもの食事に一品加える」という小さな工夫から始めてみてください。
次回は、夜中に目が覚める原因は血糖だけではない――睡眠・ストレス・体温の関係についてお話しします。