疲れと眠気、一日のリズムを考える
朝は何度も目覚ましを止め、午前中は仕事が進まない。それなのに夜になると片づけや調べ物を始めたくなり、気づけば日付が変わっている。こんな毎日が続いていませんか。
前回は、ストレスによって肩やあごに力が入り続ける理由を取り上げました。今回は、体の緊張が眠りに持ち越されることと、眠る時間帯のずれを考えます。
「疲れている」と「眠れる」は同じではありません
体が重い、何もしたくないという疲労感と、まぶたが重くなって眠りに入りそうな感覚は、重なることもありますが同じではありません。
仕事の心配や明日の段取りが頭から離れないと、疲れていても気持ちが落ち着かず、寝つきにくくなります。「早く寝なければ」と時計を何度も見ることも、眠りへの焦りにつながります。
眠りには、二つの仕組みが関わります
一つは、起きている時間が長くなるほど、睡眠を必要とする力が高まる仕組みです。「睡眠圧」と呼びます。実際に感じる眠気や「寝たい」という気持ちとは、いつも一致するわけではありません。
もう一つは、ほぼ一日の周期で、眠る時間と活動する時間を調整する体内時計です。夕方から夜の早い時間には、起きている状態を支える働きが強まる時間帯があります。
そのため、寝不足でも一時的に目がさえることがあります。夜の明るい照明や画面、遅い時間までの活動が重なると、眠くなる時刻が後ろへずれる場合もあります。
コルチゾールが逆転しているのでしょうか
コルチゾールは、視床下部・下垂体・副腎が連絡するHPA軸によって調節されます。一般に、普段の起床に近づく時間帯から増え、夜は低くなる日内リズムがあります。
ストレスや睡眠と相互に関わりますが、朝のだるさと夜の覚醒だけで「朝は低く、夜は高い」とは判断できません。症状だけからホルモンの状態を決めないことが大切です。
「副腎疲労」は確立された診断名ではありません。寝不足、体内時計のずれ、不眠、睡眠時無呼吸、薬の影響なども含めて考えます。
23年の鍼灸臨床で大切にしていること
23年の臨床で大切にしてきたのは、「何時間寝たか」に加え、「いつ眠り、いつ自然に目が覚めるか」を聞くことです。
平日は起きられなくても、休日に遅く寝て遅く起きると比較的楽なのか。夕食後に寝落ちしていないか。夜だけ自分の時間になっていないか。こうした生活の流れを確かめます。
東洋医学の視点も交え、緊張や冷え、胃腸の状態を見ます。ただし、触診だけでホルモンの異常を診断することはできません。
今日からできる3つのこと
1.起床後に、外の明るさを取り入れる
カーテンを開け、可能なら外で短く過ごします。太陽を直接見る必要はありません。起床時刻を大きく変えず、朝の光を取り入れる習慣から始めます。
2.夜は照明と作業を一段落させる
就寝前は部屋を少し暗めにし、仕事の連絡や調べ物を終える時刻を決めます。画面の色だけでなく、見続ける時間や内容による興奮にも目を向けましょう。
3.一週間、眠る時間帯を書き出す
布団に入った時刻、眠れたおよその時刻、起床、昼寝、朝のだるさを記録します。平日と休日を比べると、睡眠不足なのか、時間帯がずれているのかを相談しやすくなります。
医療機関へ相談する目安
眠りにくさや朝のだるさが続き、仕事や生活に支障がある場合は、内科や睡眠外来へ相談してください。大きないびきや呼吸停止、運転に支障が出る眠気がある場合も早めの確認が必要です。
遅い時間なら眠れるのに、必要な時刻に眠れず起きられない状態が続く場合は、体内時計に関わる睡眠障害も検討されます。眠気が強いときは運転を控えてください。
朝と夜の両方から整えていきましょう
夜に目がさえる自分を責める必要はありません。まずは朝の光、夜の明るさ、実際の睡眠時刻を見直し、自分のリズムを知るところから始めましょう。