忙しい一日を終えて血圧を測ると、いつもより高い数字。「今日はイライラしたからかな」と思っても、翌朝も高いと気になります。
前回は、朝のだるさと夜の目のさえ方について考えました。
今回は、ストレスを感じたときの血圧の変化と、家庭で確かめたいことを取り上げます。
血圧が上がるのは、体が活動に備える反応です
血圧は、血液が血管の壁を押す圧力です。心臓が送り出す血液の量や、血管の広がり具合などによって変わります。
緊張や不安を感じると、交感神経やアドレナリンなどの働きで心拍が速くなり、血管が収縮します。必要な場所へ血液を送り、すぐに動けるように備えるため、血圧が一時的に上がることがあります。
ただし、その場で上がることと、高い状態が続く高血圧は分けて考えます。ストレスが長期的な高血圧にどの程度直接関わるかは研究が続いており、「ストレスが原因」と決めつけることはできません。
忙しい日の生活も重なります
仕事が立て込むと、夕食が濃い味の総菜になり、寝酒が増え、歩く時間や睡眠が減ることがあります。こうした変化も、血圧を管理するうえで見逃せません。
ストレスへの反応には、脳の視床下部、下垂体、副腎が連絡する「HPA軸」も関わります。そこで分泌が調節されるコルチゾールは、血糖の維持や体のストレス対応を支えるホルモンです。
血圧が高いという理由だけで、コルチゾールが多いとは判断できません。「副腎疲労」は確立された診断名ではなく、血圧の原因を副腎だけに求めないことが大切です。
「落ち着けば下がるから大丈夫」とは限りません
診察室では高く、自宅では低いこともあれば、その逆もあります。また、高血圧は自覚症状がないことも多く、肩こりや頭の重さだけでは判断できません。
23年の鍼灸臨床を踏まえて大切にしたいのは、体の緊張と血圧の評価を分ける視点です。肩の張りや呼吸、冷え、睡眠、食事を確認するとともに、血圧は実際の測定記録で確かめます。
施術後に楽になったり、その場の血圧が下がったりしても、それだけで高血圧が改善したとは判断できません。鍼灸を受けていても、必要な検査や薬の治療は主治医と相談して続けます。
今日からできる3つのこと
1.測る前に、静かに座る
上腕式の血圧計を使い、トイレを済ませてから椅子で1〜2分休みます。背中を背もたれに預け、足を組まず、足裏を床につけます。腕を台に置き、腕帯が心臓の高さになるようにして、話さず測りましょう。
2.朝と夜に測り、両方の値を残す
朝は起床後1時間以内で、朝食と服薬の前。夜は就寝前を基本にします。薬を飲む時間を自己判断で遅らせる必要はなく、医師から指示があればそちらを優先します。
一度の機会に原則2回測り、両方を記録します。低い値が出るまで測り直すのではなく、週5日以上の記録を受診時に見せてください。
3.塩分だけでなく、血管の健康を支える食事を選ぶ
高血圧には炎症も大きく関わっています。そのため、塩分の量に加えて、普段どのような食品を食べているかにも目を向けましょう。
例えば、野菜の小鉢を一品加える、ハムやソーセージなどの加工肉をよく食べている場合は、加工されていない肉(精肉)や魚、豆腐に替える、甘い飲み物を水や無糖のお茶に替える、といった方法があります。肉料理そのものを避ける必要はなく、食品の種類や食事全体のバランスを考えることが大切です。
特定の食品だけで炎症を防げるわけではありません。麺類の汁を残すなどの減塩も続けながら、毎日の食事全体を少しずつ整えていきましょう。
医療機関へ相談する目安
上180または下120mmHg以上の非常に高い値は、静かに休んで再測定しても続く場合、速やかに医療機関へ連絡してください。胸痛、強い息苦しさ、片側の脱力、言葉が出にくい症状があれば、測り直しを待たず119番へ連絡します。
数字を責めず、普段の状態を知る
血圧が高いのは、気持ちの持ち方が悪いからではありません。
測る条件をそろえた記録が、必要な対策を選ぶ助けになります。落ち着く時間と医療での確認を、両方大切にしましょう。